私の人生の「響き」のエピソード


① バンクーバー

 

ワーキングホリデーで初めて訪れた国、カナダ・バンクーバー。

 

美しい場所と聞いていたけれど、こんなにも大好きな場所になるとは想像もつきませんでした。

 

英文科を卒業したものの、スピーキング力に自信のなかった私。そんな私の英語にもおかしな顔一つする事なく、耳を傾けて一生懸命聞いてくれるカナダの人々。誰にでも平等でフレンドリーに振る舞う国民性。

 

「きちんとした英語を話さないと見下される」という不安は吹き飛び、受け入れてもらえた喜びと、言語はコミュニケーションツールなんだ、通じれば良い、完璧でなくて良い、そう気付いてからは、より私らしくバンクーバーで暮らせるようになりました。

 

他の人の目は気にしない、他人がどう思うかより「自分はどうしたいのか、どう思っているのか」を自由に発言できる場所、バンクーバーが私にとって心地の良い場所となりました。

 

ダウンタウンのコンドミニアム21階のバルコニーから見渡す景色。右手には連なる山々、左手にはイングリッシュベイ、緑に囲まれた大きな公園スタンリーパークも見えます。

 

このスタンリーパークからイングリッシュベイへ抜ける1周約9Kmのサイクリングロードを友達とローラーブレイドで周遊するのが好きでした。大自然の中、気持ちの良いスピードでかけ抜ける。特にベイに沈みかける夕日を観ながら走るのがなんとも言えない、幸せな気持ちでいっぱいになりました。

 

2001年の夏も終わりそうなある日。

 

ルームメイトとコンドミニアムのバルコニーから夕日を眺め、「生きているだけで、ここにいるだけで、こんなに幸せ!と思ったことは今ほどない。

この感情は絶対に忘れない、そしてまたいつか必ずバンクーバーに戻ってくる!」と英語で語りあった時のこと、「響く」感覚を20年経った今も鮮明に覚えています。

 

足元からジワ〜っと暖かさが満ちてきて響いていたあの日を、今も思い出すことができます。私の響き、「バンクーバー」。

 

「響きから生きる」を体現すべく、2022年8月〜2023年8月の1年間カナダに在住。

 

現在は東京を拠点に活動しておりますが、2拠点生活を計画中。


② 飛行機の離陸の瞬間

 

幼少の頃からCA(当時の職業名はスチュワーデス)を夢見ていました。

 

飛行機という特別な空間での仕事。そんな特別感が私を魅了していました。

 

スチュワーデスの仕事は夢だったものの、私が大好きでならない瞬間、「響き」の瞬間は「離陸」にありました。

 

飛行機はバックができないため、搭乗ゲートから大きな機体がトーイングされて誘導路に連れて行かれます。

 

セットされて初めて自力で前に進み出す機体。ゆっくりと滑走路に向かって進みます。滑走路のスタート地点に差し掛かる直前に2回のチャイム音。キャプテンからの間もなく離陸します、のサインです。

 

機体は滑走路スタート地点で一旦止まります。車のSTOPサインと同じように。かと思うと、エンジン音がガラッと変わり大きな音を立て始め、運動会の徒競走でピストルを鳴らされた瞬間の如く、とてつもないダッシュが始まります。

 

この一旦停止時に私は毎回背筋が伸び、自分も離陸態勢に入ります。響きの始まり。

 

さぁ、来るぞ〜〜!!というワクワクとドキドキの期待に満ち溢れたような感覚。そしてエンジン音が変わった瞬間、「キターーー!」と、凄まじく全身に響いている自分がいます。

 

ダッシュがいつまでも続いてほしいような、早く飛び立ってほしいような、不思議な感覚。フワッと大きな機体が地面から浮き、車輪が格納庫に収納されます。その音を聞いてやっとホッと一息、気持ちが徐々に落ち着いて行く感覚。

 

この滑走路での助走の響き。なぜ私をこんなにも響かせるのかを考えてみました。

 

空という無限の空間に飛び込んでいく感覚に響いている?

 

助走をつけてダッシュするけれども、万が一飛ばなかったら?飛べなかったら?というスリルにドキドキ響きを感じている?

 

しっくり来るのは、何百人という乗客の色々な想いを乗せて、あんな大きな鉄の塊が大空へ飛び立つ。科学的に証明はされているけれども、私にはやはりロマンでしかない。そんな美しい光景に響いているのかもしれません。

 

私の「響きから生きる」の原点でもあるCAという職業。

そんなCAを目指している方々も現在はコーチとして応援させて頂いております。